JORTC市民公開セミナー

第3回 JORTC市民公開セミナー in 名古屋
『緩和ケアを知ろう!~あなたに伝えたい、緩和ケアの今~』

5月28日(土)「第3回JORTC市民公開セミナー in 名古屋」を開催しました。
・2016/12/12 『Q&Aコーナー』を追加掲載しました.
・2016/07/28 『セミナー講演動画』を公開しました.
・2016/04/21 『演者からのメッセージ』を追加掲載しました.

■イベント報告

第3回市民公開セミナーとなる名古屋開催もおかげさまで満員御礼/内容も大好評いただきました。

今回は「緩和ケアを知ろう!~あなたに伝えたい、緩和ケアの今~」をテーマに、臨床最前線はもちろん多岐にわたり活躍されている医師、薬剤師、看護師のエキスパートの先生方より、それぞれのお立場から大変わかりやすく熱い思いが伝わってくるご講演をいただきました。 また、皆さんの思いとともに多くのご感想・ご質問もいただき、やはりQ&Aセッションの時間だけではお答えしきれないほどでした。お答えしきれなかったご質問等も含めて、前回と同様にフィードバックさせていただきたいと考えております。 ご参加いただいた患者さん・ご家族をはじめとする一般市民の皆さんはもちろん、医療関係者の方々も、有意義な時間をご一緒できたのではと思います。

参加者もちろん、司会・演者の先生方はじめご協力・ご支援いただきました関係各位の皆さま、改めまして厚く御礼申し上げます。
今後も皆さんの声をいただきながら、セミナーはじめさらに有意義な企画を開催していきたいと考えております。 関係各位の皆さま、今後ともご協力・ご支援の程、何卒宜しくお願い致します!

◇会場風景写真


JORTC 坪井理事長, 愛知キャンサーネットワーク理事長 室先生, 司会 古賀真美さん, 講演演者 森先生,梅田先生,立松先生,西川先生(講演順)です.なかなか聞けない貴重なお話を有り難うございました!


満員御礼!ご参加いただいた皆さまの熱い視線/姿勢が本会終始変わらず、皆さまの強い思いを感じました.

■講演動画閲覧

「いのちを支える緩和ケア
 ~緩和ケアの臨床研究について」
 森 雅紀 先生

  聖隷三方原病院 放射線治療科
「自分らしさを支える緩和ケア」
 梅田 恵 先生

  昭和大学院 保健医療学研究科 教授
  昭和大学病院 看護部
「薬剤師からあなたに伝えたい
 …痛み治療のこと、おくすりのこと…」
 立松 三千子 先生

  名城大学大学院 薬学研究科 准教授
  愛知県がんセンター中央病院 薬剤部
「患者の意思を尊重するための
 アドバンス・ケア・プランニングとエンド・オブ・ライフケアに係る教育・臨床・研究」
 西川 満則 先生

  国立長寿医療研究センター 緩和ケア診療部



●Q&Aコーナー

本会時のアンケート記載いただいたご質問について、会場でお答えしきれなかったものも含めて、
司会・演者の先生方からコメントをいただきました。ぜひご参考ください。



Q1:
訪問介護の事業所のサービス提供責任者(ヘルパー)として仕事しています。医療スタッフさんが介護者に期待する役割はどんな事がありますか。煙草や酒等の嗜好品をかかりつけ医やナースに制限されているはずの患者さんから、買い物代行などで依頼されると断りにくく、現場で対応にしばしば悩む。

A1:
患者さんの身近でお世話されている皆さん、例えばご家族やヘルパーさんだからわかることもいっぱいあると思います。例えば痛みで夜眠れないようだとか、朝起きるときに痛みで辛そうとか、そんな情報が痛み止めを上手に使うためにとても重要です。また、背中に皮疹ができたとか、足の爪の色が変わっているとか、本人も気づかないうちに出てきた症状にいち早く気づいていただくことが病状の重症化を防ぎ、患者さんのQOLを維持するうえで大切なことと思います。
タバコや酒に関しては、患者さんのおかれた状況によっても対応が違ってきますが、どこまで許容するかについて医療スタッフと情報共有することが大切かと思います。患者さんの言動や思いを医療スタッフに伝え、橋渡し役として患者さんをサポートしていただければと思います。


Q2:
メリット/デメリットについてお聞かせください。
①輸液について ②酸素吸入をしている病院としていない病院がある

A2:
腫瘍などのため頭頚部や胃腸を水分が通らない場合、輸液を行うことは脱水を防ぐというメリットがあります。一方、人生の最終段階に差しかかられた方で残された時間が週の単位の方にとっては、輸液を行うことで脱水に伴う症状や生活の質が良くなったり命が長くなったりするというメリットはないことが示されています。一方、この時期の方には必要以上の輸液により、胸やお腹に水がたまったり喉元のごろつきが強まったりするデメリットもあります。ただ、医学的な側面だけではなく、「輸液」をすることで安心感を覚えられる患者さん・ご家族もいらっしゃることから、個々の状況に応じて、輸液を行うかどうか、行うとしたら量はどうするかを患者さん、ご家族、医療者間で検討し、医療者は日々メリット・デメリットを評価することが大切と思われます。
酸素吸入に関しましては、体の酸素の濃度が低い患者さんでは酸素吸入により息苦しさが改善することがわかっています。一方、体の酸素の濃度が低くない患者さんでは、酸素吸入は空気吸入と比べて息苦しさを改善する効果に差はないことが分かっています。ただ、酸素であれ空気であれ気体を吸入すること自体が息苦しさの改善に繋がることが示されていますので、酸素吸入が患者さんにとって煩わしくなく、息苦しさの改善につながるようでしたら酸素の濃度がが低くなくても酸素吸入を継続することもあります。酸素吸入には、わずらわしさ以外にも、行動の制限、酸素流入の音による不眠など様々なデメリットもありますので、使用にあたっては患者さん、ご家族、医療者間でケアの目標を共有することが必要です。


Q3:
統合失調症やうつ病の患者さんが、がんになり終末期になられました。内服が困難となり、精神症状が強く出てきたときのケアの難しさを感じます。身体症状を緩和しながら精神的にも支えていくうえでアドバイスがございましたらどうぞよろしくお願いします。

A3:
大変難しい状況だと思います。この時期の患者さんは倦怠感、食思不振、せん妄、眠気など様々な症状を持たれることが少なくありません。これらを含めた患者さんの症状が、精神疾患による症状か、終末期に伴う諸症状かを見分けることが治療にもつながりますので、緩和ケアの医療者と精神科医の先生が密に連携して症状の評価を行い、見通しをもってケアにあたることが大切と思われます。


Q4:
薬には副作用がつきものだと思いますが、痛み止めで問題になるがまんしてはいけないものにはどんなものがありますか?

A4:
どんな副作用でも我慢しないでください。
我慢していると痛み止めを使うことが苦になってしまい、痛みも我慢することになりかねません。痛み止めにはいろいろな種類がありますが、一番患者さんが気にされるのは医療用麻薬の副作用かと思います。 薬剤によって違いはありますが、便秘、吐き気、眠気などがよくみられる副作用です。便秘は適切に便秘薬を服用することで対処することができます。便秘は、吐き気や食欲不振などの原因になることもあり、重症化させないことが大切です。 吐き気もいろいろな種類の吐き気止めを使って対処できます。吐き気は便秘と違い、次第におさまってきますので、医療用麻薬を始めるとき、増量した時などにしっかり対策をすることが大切です。 眠気も医療用麻薬を始めたとき、増量したときに起こることがありますが、たいていは次第におさまってきます。ずっと眠気が続き、痛みがない場合はお薬の量が多すぎるのかもしれません。 お薬の量を痛みがでない程度に減らすとよい場合が多いので主治医や看護師、薬剤師に相談してください。どんな場合でも、我慢しないで何が問題なのかを医療スタッフに伝えていただくことが痛み治療で一番大切なことです。




●開催概要

日時:  2016年 5月 28日(土)14:00~17:00[受付開始 13:00]
場所:  安保ホール ABO HALL 301号室
     交通アクセスはこちら
対象:  患者さん・ご家族はじめ一般市民、医療従事者の皆さん
定員:  80名(先着順)※事前申込み必要
参加費: 無料
=主催= NPO法人JORTC
=共催= NPO法人愛知キャンサーネットワーク
=後援= 厚生労働省 / 特定非営利活動法人日本緩和医療学会
     一般社団法人日本癌治療学会 / 公益社団法人日本臨床腫瘍学会
     NPO法人キャンサーネットジャパン / 中日新聞社 
開催案内パンフレットはこちら

≪開催当日の注意事項のお知らせ≫
① 施設・会場への立入りについて
セミナー当日 5月23日(土)は、会場施設への立入りは13:00以降となります。 13:00までは会場への立入りができませんのでご注意ください。受付は13:00開始予定です。
② 会場での飲食について
会場への飲食物の持ち込みは可能ですが、セミナー中の飲食はご遠慮ください。 飲食される場合は、セミナー開始前と休憩中にお願いいたします。
③ 写真撮影について
当日の会場内では、ホームページなどへの報告掲載・開催記録を目的として、 運営スタッフが写真撮影・講演動画収録を行ないます。ご了承ください。 参加者の皆さまのお顔を撮影することはございませんのでご安心ください。



●プログラム / 演者からのメッセージ

演者からのメッセージも掲載。演者の先生方の思いが伝わります、ぜひご一読ください。

□司会□ 古賀 真美 氏(JORTC理事/NPO法人キャンサーネットジャパン プロジェクトマネージャー)

14:00 =開会挨拶=
    愛知キャンサーネットワーク理事長/愛知県がんセンター中央病院 薬物療法部 部長
    室 圭  先生

14:05 『いのちを支える緩和ケア~緩和ケアの臨床研究について』
    聖隷三方原病院 放射線治療科
    森 雅紀 先生
≪森 先生からのメッセージ≫

14:35 『自分らしさを支える緩和ケア』
    昭和大学院 保健医療学研究科 教授/昭和大学病院 看護部
    梅田 恵 先生
≪梅田 先生からのメッセージ≫

=休憩=(15:05-15:15)

15:15 『薬剤師からあなたに伝えたい・・・痛み治療のこと、おくすりのこと・・・』
    名城大学大学院 薬学研究科 准教授/愛知県がんセンター中央病院 薬剤部
    立松 三千子 先生
≪立松 先生からのメッセージ≫

15:45 『患者の意思を尊重するための
    アドバンス・ケア・プランニングとエンド・オブ・ライフケアに係る教育・臨床・研究』
    国立長寿医療研究センター 緩和ケア診療部
    西川 満則 先生
≪西川 先生からのメッセージ≫

=休憩=(16:15-15:25)

16:25 Q&Aセッション

17:00 =閉会挨拶=
    JORTC理事長/国立がん研究センター東病院 呼吸器外科 科長
    坪井 正博 先生


●お申込み方法

参加ご希望の方は、①代表者氏名(ふりがな)②人数 ③ご連絡先(電話番号 or Eメールアドレス or FAX番号)をご記入のうえ、EメールまたはFAXにてお申込みください。

≪お申込み締切日≫ 2016年 5月 27日(金)

●参加申込み・お問い合わせ先

「特定非営利活動法人JORTC事務局」木原・佐藤 宛
 e-mail:info@jortc.jp TEL:03-5604-9850 FAX:03-5604-9851


掲 載 日:2015年05月28日
最終更新日:2016年12月12日