JORTC市民公開セミナー

第2回 JORTC市民公開セミナー in 大阪
『緩和ケアを知ろう!~誤解していませんか?緩和ケアの今~』

12月5日(土)「第2回JORTC市民公開セミナー in 大阪」を開催しました。

・2016/03/26 『Q&Aコーナー』を公開しました.
・2016/02/01 セミナー動画を公開しました.

■イベント報告

師走の週末ご多忙の折にもかかわらず、120名以上の定員を上回る皆さまにご参加いただきました。

今回も東京開催と同じく「緩和ケアの今」および「緩和ケア臨床研究と今後それがもたらす未来」をテーマに開催しました。 ご一緒した皆さまの話・アンケート結果など、参加いただいた方々も、患者さん・ご家族・医療従事者問わず、セミナー内容も大好評いただいたご様子でした。 また、皆さんの思いとともに多くのご感想・ご質問もいただき、Q&Aセッションの時間だけではお答えしきれないほどでした。これらも何らかの形でフィードバックしていければと思います。

参加者もちろん、司会・演者の先生方はじめご協力・ご支援いただきました関係各位の皆さま、改めまして厚く御礼申し上げます。

今後も皆さんの声をいただきながら、セミナーはじめさらに有意義な企画を開催していきたいと考えております。 関係各位の皆さま、今後ともご協力・ご支援の程、何卒宜しくお願い致します!

◇会場風景写真


司会の前田先生、講演演者の吉田先生・市原先生・木澤先生・石木先生・松田先生・松岡先生、 ご多忙の中、なかなか聞けない貴重なお話を有り難うございました!


満員御礼.定員の120名を優に超える皆さんに参加いただきました。長時間にもかかわらず、参加者の皆さんがずっと熱心に聞かれている姿が印象的でした


■講演動画閲覧

第1部 緩和ケアとは何か
    ~緩和ケアを誤解していませんか?緩和ケアの今を知ろう!

「抗がん剤治療と緩和ケア
 ~がんと上手に付き合っていくために~」
 吉田 健史 先生

  近畿大学医学部附属病院
  がんセンター緩和ケアセンター・腫瘍内科
「緩和ケアの今を知ろう! 看護師からお伝えしたいこと」
 市原 香織 先生

  京都大学医学部附属病院 看護部
  がん看護専門看護師
「がん緩和ケア 早期からの緩和ケアとアドバンス・ケア・プランニング」
 木澤 義之 先生

  神戸大学大学院 医学研究科 内科系講座
  先端緩和医療学分野 教授

第2部 緩和ケアの臨床研究がもたらす
    ~臨床研究が紡ぐ緩和ケアの未来

「-臨床研究が紡ぐ緩和ケアの未来-
     いつも、希望を持って生きる。」
 石木 寛人 先生

  東京大学医科学研究所附属病院 緩和医療科
「肺の病気によるいきぐるしさの臨床試験」
 松田 能宣 先生

  国立病院機構近畿中央胸部疾患センター
  心療内科/支持・緩和療法チーム
「神経障害によるいたみの臨床試験」
 松岡 弘道 先生

  近畿大学医学部附属病院
  心療内科/緩和ケアセンター



●Q&Aコーナー

本会時のアンケート記載いただいたご質問について、会場でお答えしきれなかったものも含めて、
司会・演者の先生方からコメントをいただきました。ぜひご参考ください。



Q1-1:
今、抗ガン剤治療中ですが、緩和ケアを受けるには、どうすればいいですか?
Q1-2:
具体的にどうすれば緩和ケアを受ける事ができるのでしょうか。主治医に精神状態の悪化を訴えても、治療優先で大して対応してもらえない。
Q1-3:
緩和ケア外来がある病院(総合病院)の医師や看護師が、現在の緩和ケアの事を知らないのはなぜですか?緩和ケアの事を相談したら、まだ早いと言われましたが、診断された時から受診できる事すら知りませんでした。自分で調べた者しか救われないと感じました。主治医も緩和ケアをはじめから勧めないのはなぜですか?

A1:
医療者の中でも緩和ケアに対する理解は様々で、医療者を対象とした啓発は重要な課題であると認識しています。一般的な説明になりますが、緩和ケアには、基本的緩和ケア(痛みに対して鎮痛薬を使用する、患者さんやご家族の不安を軽減するために十分なコミュニケーションを取る、などすべての医療者が実践すべきケア)と、専門的緩和ケア(一般的な対応で対処が難しい難治性の苦痛や複合的な問題に対応するなど、ホスピスや在宅ホスピスで実施される専門性の高いケア)の二つがあります。主治医の先生はご自分で「基本的緩和ケア」を実践しているので「専門的緩和ケア」はまだ早いと考えている、あなたは「専門的緩和ケア」に関連する情報を得たい、直接受診したいと考えている、など緩和ケアの意味するところに少しギャップがあるのかも知れません。あなたのご希望を伝えた上で、主治医の先生のお考えも聞いてみてはいかがでしょうか。


Q2:
再発が判明した時点で完治できないというシナリオが予想されるので、「苦痛を伴う積極的な治療を早めに切りあげ、緩和ケア専門の病院に移りたい」と医師に伝えたら、「まだまだ先の話」「それよりも、さらなる抗がん剤の投与を」と言われました。緩和ケアを自分の意思で選ぶことはできないものですか?

A2:
「さらなる抗がん剤」のメリット・デメリットについて、主治医の先生とよく話し合ってみるのが重要だと思います。治療を切り上げて緩和ケア専門の病院に移ることの他に、治療を受けながら緩和ケアを受ける方法もあるかも知れません。


Q3:
緩和ケアの「中身」は「麻薬」と「相談」以外にはないのでしょうか?
演劇系のワークショップを実践しております。また、ドラマセラピー、ダンスセラピー、アートセラピー、音楽療法など「非言語」的なケアの手法も、言葉では相談しきれないことを表現する際に有効だと思うので、そういったものが緩和ケアの範疇に含まれているのか、興味があります。

A3:
緩和ケアは全人的苦痛を緩和することを目的としていますので、アートセラピーで苦痛が和らぐのであれば、それも立派な緩和ケアであると考えます。施設により差がありますが、音楽療法やアロマセラピーなどのケアを取り入れている緩和ケアの施設が国内にも多数あります。


Q4:
がん患者の痛みへの対策、処置は、医師を含むメディカルスタッフが対応できるものであって、社会的・精神的・スピリチュアルな苦痛をメディカルスタッフが担うのは仕事量が増して、現実的ではないと思います。後3者は、患者会やボランティアによる支援につながるよう、体制整備と、がん患者会の成長が必要だと思いますが、いかがでしょうか?

A4:
ご意見ありがとうございます。おっしゃる通り、がん患者さんのケアはただ身体や精神を見ればいいのではなく、全人的なケアが必要で、様々な役割の人のかかわりが大事になってきます。実際の診療でも患者会やボランティアの方々が大きな力となってくださる事例をしばしば経験します。体制整備は取り組むべき課題です。


Q5:
市原先生が「ともいき京都」をご紹介されましたが、大阪で、そのような活動をされている団体・場所はありますでしょうか?

A5:
大阪では「ともいき京都」と同じ活動を行っている所は存じあげません。がん診療連携拠点病院のがん相談支援センター、患者サロンへのお問い合わせ、患者団体HP等の検索によって、有益な情報が得られるかも知れません。


Q6:
抗がん剤が効く、効かないという判断は寿命が平均8ヶ月→2年半ということで判断するのですか。よくネットの記事で抗がん剤は患者の2割ぐらいしか効かないという記事については、どう理解したらよいですか。

A6:
抗がん剤の治療効果の判断は「治癒率」「全生存期間」「無増悪生存期間」「奏効率」など様々な観点で検討されます。寿命が8か月→2年半というのは「全生存期間」、抗がん剤は2割くらいしか効かないというのは「奏効率」の観点で述べられているものと思われます。どちらも非常に重要な効果判断材料になりますが、単独では解釈が難しいところもあるので注意が必要です。たとえば、奏効率は腫瘍が完全に消失した「完全奏効(CR)」と30%以上縮小した「部分奏効(PR)」を合計したものですので、腫瘍の大きさが変化しない「安定(SD)」を加えると治療の恩恵を受けている方はより多いと考えられるかも知れません。数字に目を取られずに、それらの意味するところを主治医の先生とよく話し合われるのが良いのではないかと考えます。


Q7-1:
講演の中で抗がん剤と緩和ケアと早期併用により延命効果があるとありましたが、これは特に痛みや辛さのない人にも当てはまるのでしょうか?併用の重要性について教えて下さい。
Q7-2:
早期から緩和ケア併用により寿命の延長という内容について、緩和ケア併用すると具体的にどのような効果があってのことでしょうか?教えて頂きたいです。
Q7-3:
現在抗がん剤治療中(転移)です。特に副作用や痛みで苦しんではいないのですが、緩和ケアとの併用による成果というのはこの場合当てはまるのか?併用により治療効果が上がるのでしょうか?(原発の後遺症で目が見えにくくなっていますが、そこも緩和ケアの研究領域なのでしょうか?)
現在、未来で考えられる痛みや精神面以外の具体的な緩和治療とは?

A7:
緩和ケア(支持療法)は病気による症状や、治療の副作用を軽減することを目的としています。症状や副作用をコントロールしてがんの治療をしっかり受けられる、主治医とコミュニケーションを深めて副作用の割にメリットの少ない治療を避ける、心身共に活動的に過ごせること等によって、がんの治療効果が上がるのではないかと考えられています。身体面や精神面のつらさのほかに、社会的なつらさ(仕事や学校と治療との両立、収入や生活環境に関する悩み)も緩和ケアが取り組むべき対象です。困ったことを相談できる窓口という風に捉えていただいてもよいかも知れません。


Q8:
膵尾部癌ステージⅡで抗癌剤治療中です。癌を小さくしてオペになるという希望のもと、頑張っていますが、血小板の減少が激しく、度々休薬になります。その度精神的な落ち込みが激しく、精神面における緩和ケアもあるのでしょうか。

A8:
患者さんをトータルにケアするのが緩和ケアの目標です。もちろん精神面でのケアも含まれます。施設によっては精神科医や臨床心理士が緩和ケアチームのメンバーでカウンセリングを受けられるところもありますので通院中のご施設で相談されてはいかがでしょうか。


Q9:
訪問看護師をしております。自宅で緩和ケアを受けながら生活されている患者さんを看ていますが、病院から離れて、今の緩和ケアがわかりません。ターミナルの方が「しんどい」と訴えられた時、ステロイドの投与、身体的なケアをしています(マッサージなど)。他にできることがあれば考えて頂きたいと思います。又、腹水が溜まって苦しい患者さんで、病院にも行くことが困難な人に皮下注でサンドスタチンをしていますが、他に方法があれば考えて頂きたいと思います。

A9:
緩和ケアの知識・技術はずいぶん確立されて来ましたし、緩和医療学会の「専門家を目指す人のための緩和医療学」など読みやすい書籍も刊行されています。このような知識を踏まえて、個々の患者さんの症状の背景にある病態(なぜその症状が起こっているのか)を考えながら、一例一例に合ったケアを考えているのが現実だと思います。終末期の倦怠感・腹水貯留は難治性の症状で対応が難しいことも多いですので、専門書を参照される、地域・拠点病院の緩和ケア医と情報共有されるなどで対応していただくのが良いかと考えます。


Q10:
医療費の削減が大きな課題になっていますが、財政的に臨床研究がこれからも可能でしょうか?患者としては不安です。

A10:
臨床研究は、公的機関や企業から提供される研究費で行われていることが多いですが、今後財政上の問題で実施が難しくなる可能性はあります。アメリカなどでは患者団体が研究費を出して臨床研究を行っていることもあるようですので、我が国でも特定の資金源に依存しない形で臨床研究が継続できる体制が構築されることが望まれます。


Q11:化学療法の治験の生存率曲線について
MSTは生存率を2.7年延長するのはわかります。でも、生存率は35ヶ月と36ヶ月くらいで両者の差はありません。グラフとしては有意差のあるデータではありますが、患者の立場から見ると3年半から3年半+1~2ヶ月の延長は同じなので寿命は延びていません!「生存期間の延長」という説明は間違っていませんか?「がんと共存して、よりよく生きる時間を手にする」ということだと思いますが、いかがでしょうか?

A11:
ご覧になっている35ヶ月、36ヶ月は最も長く生きた方を示しており、比較する2群の全体の比較としては不適当です。生存曲線を比較する場合は2群を統計学的な方法を用いて比較します。その結果、2群の平均寿命に2.7ヶ月の差が認められた、というのがご紹介した臨床研究の結果です。いただいたご意見の通り、この研究の成果は「緩和ケアを受けた方々ががんと共存して2.7ヶ月だけよりよく生きる時間を手にすることができたのではないか」と世界中の専門家の間で理解されています。


Q12:
医師主導の臨床試験について、たとえばデュロキセチンの試験も多施設協同研究だと思いますが、実施病院に通院していない場合でも試験に参加せずともその薬を処方してもらうことは可能ですか?主治医判断ということでしょうか?

A12:
デュロキセチン自体は日本中どこの病院でも処方してもらうことが可能です。ただし海外と違って「化学療法に起因する末梢神経障害」の病名では使用できませんので、主治医の先生にご相談いただく必要があります。


Q13:
肺疾患の呼吸苦時、どの程度の呼吸苦時にもモルヒネを使うのですか。使用時期についても教えてください。

A13:
とても重要なご質問をありがとうございます。肺疾患の呼吸困難に対して使用する場合には、病状の進行した患者さんで、他の標準治療を行っても呼吸困難が改善しない場合に使用することが多いです。上記のような患者さんで、呼吸困難がつらい方であれば、使用可能だと思います。


Q14:
緩和ケアは、がん患者のみではないと思います。他の病気についても同じ考えでよろしいでしょうか?

A14:
その通りです。全人的苦痛はがん患者に限ったことではありません。肺疾患、心疾患、認知症など全ての病気に対して全人的医療の実践が行われるようになるべきであると考えております。別の視点で考えると、全ての医療者が緩和ケアの視点も持つようになれば、特別なケアという位置づけではなく、多くの患者さんに当たり前に提供されるケアになるかも知れません。




●開催概要

日時:  2015年 12月 5日(土)13:00~17:00[受付開始 12:00]
場所:  TKPガーデンシティー大阪OAPタワー24階 マリーゴールド
     交通アクセスはこちら
対象:  患者さん・ご家族はじめ一般市民、医療従事者の皆さま
定員:  120名(先着順)※事前申込み必要
参加費: 無料
=主催= NPO法人JORTC
=後援= NPO法人日本緩和医療学会 公益財団法人大阪コミュニティ財団
     NPO法人キャンサーネットジャパン NPO法人水度坂友愛ホーム
     大阪府健康医療部保健医療室
=協力= 神戸大学大学院 医学研究科 内科系講座 先端緩和医療学分野
開催のご案内はこちら

≪開催当日の注意事項のお知らせ≫
① 施設・会場への立入りについて
セミナー当日 12月5日(土)は、会場施設への立入りは11:30以降となります。 11:30までは会場への立入りができませんのでご注意ください。受付は12:00開始予定です。
② 会場での飲食について
会場への飲食物の持ち込みは可能ですが、セミナー中の飲食はご遠慮ください。 飲食される場合は、セミナー開始前と休憩中にお願いいたします。
③ 写真撮影について
当日の会場内では、ホームページなどへの報告掲載・開催記録を目的として、 運営スタッフが写真撮影・講演動画収録を行ないます。ご了承ください。 参加者の皆さまのお顔を撮影することはございませんのでご安心ください。



●プログラム / 演者からのメッセージ

■第1部 緩和ケアとは何か 13:05~14:35
緩和ケアを誤解していませんか?緩和ケアの今を知ろう!


●吉田 健史 先生 近畿大学医学部附属病院 がんセンター緩和ケアセンター・腫瘍内科
≪吉田先生からのメッセージ≫

●市原 香織 先生 京都大学医学部附属病院 看護部
≪市原先生からのメッセージ≫

●木澤 義之 先生 神戸大学大学院 医学研究科 内科系講座 先端緩和医療学分野 教授
≪木澤先生からのメッセージ≫


■第2部 緩和ケアの臨床研究がもたらす未来 14:45~16:15

●石木 寛人 先生 東京大学医科学研究所附属病院 緩和医療科
≪石木先生からのメッセージ≫

●松田 能宣 先生 近畿中央胸部疾患センター 心療内科
≪松田先生からのメッセージ≫

●松岡 弘道 先生 近畿大学医学部 内科学 心療内科部門
≪松岡先生からのメッセージ≫


■第3部 Q&Aセッション 16:25~16:55

●お申込み方法

参加ご希望の方は、①代表者氏名(ふりがな)②人数 ③ご連絡先(電話番号 or Eメールアドレス or FAX番号)をご記入のうえ、EメールまたはFAXにてお申込みください。

≪お申込み締切日≫ 2015年 11月 27日(金)

●お申込み・お問い合わせ先

「特定非営利活動法人JORTC事務局」木原・佐藤 宛
 e-mail:info@jortc.jp TEL:03-5604-9850 FAX:03-5604-9851


掲 載 日:2015年03月11日
最終更新日:2016年02月19日

 
 

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